1994 年 26 巻 3 号 p. 247-250
妊娠ハムスターに, 経静脈的および経胎盤的にムンプスウイルスを接種することにより, 水頭症モデルの作製を試みた.妊娠8, 10, 12および14日目の静脈接種群では水頭症は発症しなかった.妊娠14日目の胎盤接種群では, 出生ハムスターの約28%に脳室拡大が観察された.組織学的には, 脳室系上衣細胞面における炎症性細胞の浸潤, 側脳室上衣下の白質における浮腫, 中脳水道の上衣下におけるミクログリアの集積など, 脳室上衣炎により惹起された病理所見が観察された.
ムンプスウイルスの胎内感染による先天性水頭症は, まれにしか発症し得ないものと推定されるが, 胎盤関門が傷害される病態下では, ウイルスは胎盤を通過し得るものと考えられる