脳と発達
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幼児期に発症し緩徐進行性の経過をとった慢性炎症性脱髄性多発神経炎の女児例
臨床経過に伴う電気生理学的所見の変化について
前垣 義弘遠山 潤竹下 研三
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1994 年 26 巻 6 号 p. 522-527

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抄録

歳頃より発症し緩徐進行性の経過をとり凹足変形を呈した慢性炎症性脱髄性多発神経炎 (CIDP) の13歳女児を報告した.ステロイド経口投与に反応したが間もなく再発し, ステロイドパルス療法後免疫抑制剤を併用し筋力が改善した.運動神経伝導検査で治療にともなうM波の変化は, はじめ既存のM波に新たなunitが加わり持続時間が延長し, 振幅が増大した.その後潜時の短縮とともに分散していた多くのunitが同期化し, より単純な波形となった.再発時にはこの逆の変化を示した.電気生理学的改善は治療後1週問目にはあらわれ, 臨床的改善に先行した.以上よりCIDPの臨床経過の把握にM波の波形の変化は鋭敏でよい指標になると考えられた.

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© 日本小児小児神経学会
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