脳と発達
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片側優位に広範な脳形成異常を認めた1例
発作時脳波および脳血流を中心として
田中 佳子浜野 晋一郎奈良 隆寛中西 洋子
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1994 年 26 巻 6 号 p. 528-533

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抄録

片側優位に広範な脳形成異常を認め片側巨大脳症が疑われた1例を報告する.症例は出生時から+2SD以上の頭囲拡大を認め, 日齢0から種々の型のてんかん発作を生じ難治性であった.頭部MRIでは, 左大脳半球容積の増大と左側の脳回の減少と皮質の肥厚, 脳梁低形成および両側脳室拡大を認めた.この症例に99mTc-HMPAOを用いた脳血流シンチグラフィーと脳波を, 発作時および発作間欠時に施行した.発作間欠時の脳血流は著しい左右差を認め, 従来の報告とは異なり肥大側である左側に脳血流の増加を認めた.左側の後頭領域では発作間欠時に相対的な脳血流の低下を, 発作時には増加を示しており, 発作時脳波では連続性鋭波を認めてんかん焦点の可能性が高いと考えられた.左前頭領域では, 発作時と発作間欠時の両方で脳血流が増加し, 頭部MRIで異常信号 (T1で高信号, T2で低信号) を認めた領域に一致していた.

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© 日本小児小児神経学会
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