1998 年 30 巻 3 号 p. 197-201
脳性麻痺は脳損傷による姿勢・運動障害を中心症状に持つが, 脳性麻痺児の発達という視点でみると課題はさらに多くなってくる. むしろ運動面以外の制約が発達に大きく影響してくるとも云える. それに対し, 治療可能か社会参加可能な肢体不自由児を対象とした旧来の療育概念では対応が不十分になり, 新たな療育概念が求められてくる. 既存の施設や保険診療基準などは旧来の療育から発展した医療を基礎にしており, 新しい概念は新しいシステムの構成も要請してきているし, 医療の専門別でも「障害児医療」といった分野が求められてきている. こうした新たな課題の各論は別に譲り, ここでは「療育」の定義の見直しと, 旧来の定義が作りだした体系の限界と新たな「療育」像について概説する.