未熟児両麻痺 (spastic diplegia; SD) の学童が抱える学校での問題点の一つに学業困難がある. 神経心理学的特徴として, 視覚認知能力は低く, 視覚認知能力が良好でも空間構成能力の低いSD児が存在する. 多変量解析の結果, 構成障害は視力, 斜視, 立体視力, 視覚認知能力には依存しない独立した高次脳機能障害であることが判明した. 神経生理学的検査として, SD児の脳波のコヒーレンス解析を行った結果, 左右後頭部のコヒーレンス値が低かった. これは左右大脳半球間の連絡性が少ないことを示唆しており, 脳梁膨大部が薄いという解剖学的所見と対応していた. 対応策として,(1) 視力, 視野の厳密な測定と矯正,(2) 行間余白の大きい本,(3) 立体的な模型を使った学習などが考えられる.