診断が間違っていない限り, 脳性麻痺の子どもは脳性麻痺のおとなになる. これまで脳性麻痺の早期発見・早期療育に取り組んできたが, 姿勢・運動障害が軽減することはあっても, 治癒はしない. 脳性麻痺の療育は, 生涯を見通した長期療育の視点が求められる. 脳性麻痺があっても, ひとりの子ども・おとなとして, 自らの生活を広げ, 深め, 生活の質 (QOL) を充実することは可能である. それには, 脳性麻痺を原因-病理-症状・徴候で捉える医学モデルだけでなく, 機能障害-能力低下-社会的不利の関係で捉える障害モデルの視点が求められる. 医学モデル, 障害モデルの二つの視点を踏まえて, 脳性麻痺の特徴と小児神経医師の役割を述べた.