脳と発達
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頭部MRIで視床, 黒質に明瞭な限局性病変を認めた日本脳炎の1例
牛田 美幸福田 邦明遠藤 彰一岡田 隆滋
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1998 年 30 巻 4 号 p. 312-316

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抄録

日本脳炎の1例を経験した. 症例は6歳, 予防接種は未接種であった. 高熱と頭痛で発症し, 翌日, 右片側痙攣をきたして来院した. 明らかな項部硬直とCRPの高値, 髄液細胞増多を認めた. 症状は急速に進行し, 第3病日には自発言語は消失し, 不穏症状, 嚥下障害, 右片麻痺がみられた. その後, 無動性無言症の状態が約1カ月間続いた. 症状は徐々に回復したが最終的には認知障害, 記憶障害を中心とした知的後遺症と複雑部分発作型の難治てんかんを残した. ウイルス抗体価の有意な上昇を確認し, 日本脳炎と診断した. 頭部MRIでは, 視床の内側部, 後部, 黒質にT1強調像で低信号, T2強調像で高信号の境界明瞭な病変がみられた. また, 海馬の萎縮も著明であった.

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© 日本小児小児神経学会
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