脳と発達
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Sanfilippo症候群C型の1例
特に長期臨床経過並びに治療上の問題点に関して
遠山 潤長沼 賢寛白根 聖子内山 聖
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1998 年 30 巻 4 号 p. 317-322

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抄録

Sanfilippo症候群 (ムコ多糖症III型) C型の1女児例を報告した. 6歳8カ月頃より異常行動, 知的退行で発症し, 夜間の睡眠障害や食事の嚥下障害も出現した. 尿中ムコ多糖分析ではheparan sulfate (HS) 63%, chondroitin sulfate 37%とHSが増加し, 皮膚線維芽細胞の酵素活性の検討ではacetyl-CoA: α-glucosaminide N-acetyltransferase活性が低下していた. 患児はこれまでの報告例の中で発症が最も遅く, 発症後, 知的障害が急激に進行した後は, 進行が緩やかになった. 関節拘縮の出現も遅く肝腫大もないことから, 軽症な経過をとっていると考えられた. 本例では扁桃肥大の改善にマクロライド系抗生剤の少量長期投与が有効と思われ, 嚥下障害が一時的に改善した.

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© 日本小児小児神経学会
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