1998 年 30 巻 4 号 p. 323-327
神経芽細胞腫の随伴徴候としてみられたopsoclonus-myoclonus症候群の1歳女児を経験した. 発症時に血液・尿中VMA, HVA, カテコラミンが上昇し, 臨床的にもカテコラミン過剰症状が出現した.頭部CT, MRIは異常が認められなかった. 電気生理学的検査では, 聴性脳幹反応, 短潜時体性感覚誘発電位は異常がみられず, 眼輪筋反射で後期成分の過剰反応が認められた.オプソクローヌスの消失とともに眼輪筋反射も正常化した. 2年経過して, 再発なく神経学的後遺症はみられていない. 眼輪筋反射の結果から, 本例では脳幹網様体での介在ニューロンの興奮性が示され, オプソクローヌスの生理学的現象を反映している可能性が考えられた. また, オプソクローヌスの病態発現機序としてドーパミンの関与を推測した.