1998 年 30 巻 4 号 p. 334-338
ウイルス性脳炎に対してacyclovirの経静脈投与を受けた5歳男児の経過中に, 不穏, 錯乱, 不眠という精神神経症状が認められた. Acyclovirの投与を中止し, 2日後にこれらの症状は改善したが, ヘルペス脳炎の再燃が疑われてacyclovirが再投与されたところ, 再度2日後から不穏, 興奮症状が出現した. これらの症状も投与中止翌日から改善した. 脳波所見上一過性に認められたperiodic lateralized epileptiform dischargesの成因が急性脳炎のためかacyclovir脳症のためかは不明であった.
ヘルペス感染症に対するacyclovirの治療効果は明らかであるが, 中枢神経系の副作用にも注意して経過観察する必要がある.