MRIにて局所的脳回肥厚症を右後頭葉に認めた1症例に対し, 1H-NMR spectroscopy (MRS) を施行した.関心領域を肥厚部皮質と対側正常皮質においてMRSを施行した.病変部のN-acetylaspartate (NAA)/creatine (Cre) が正常側に比べ著明に低下していた.NAAは神経細胞体, 軸索に局在し, 神経細胞の発達とともに増加するとされている.NAA濃度の低下は本疾患における病変部の神経細胞体, 軸索, 樹状突起およびシナプス結合の数の減少, または神経細胞の発達の遅延を反映していると考えられた.NAA/Creは本疾患の病態を良く反映し, その程度および経時的変化の指標になりうる可能性があると考えられた.