脳と発達
Online ISSN : 1884-7668
Print ISSN : 0029-0831
ISSN-L : 0029-0831
脳回肥厚症の1H-NMR spectroscopy
不破 相勲神長 達郎小林 正明佐々木 泰志古井 滋阿部 敏明
著者情報
キーワード: 脳回肥厚症
ジャーナル フリー

1998 年 30 巻 4 号 p. 346-349

詳細
抄録

MRIにて局所的脳回肥厚症を右後頭葉に認めた1症例に対し, 1H-NMR spectroscopy (MRS) を施行した.関心領域を肥厚部皮質と対側正常皮質においてMRSを施行した.病変部のN-acetylaspartate (NAA)/creatine (Cre) が正常側に比べ著明に低下していた.NAAは神経細胞体, 軸索に局在し, 神経細胞の発達とともに増加するとされている.NAA濃度の低下は本疾患における病変部の神経細胞体, 軸索, 樹状突起およびシナプス結合の数の減少, または神経細胞の発達の遅延を反映していると考えられた.NAA/Creは本疾患の病態を良く反映し, その程度および経時的変化の指標になりうる可能性があると考えられた.

著者関連情報
© 日本小児小児神経学会
前の記事 次の記事
feedback
Top