脳と発達
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縊頸による遅発性無酸素症後脳症を呈した姉弟例
松井 美華木本 恵子友田 明美松倉 誠大谷 宜伸三池 輝久
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1998 年 30 巻 6 号 p. 529-534

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抄録

総頸後に遅発性無酸素症後脳症を呈した姉弟例を経験した.姉は総頸の2日後より四肢麻痺および間欠的な不穏状態を示し, 2週間後より不随意運動が出現した.総頸より1週間後の頭部MRIT2強調画像で基底核部に軽度の高信号域が認められ, 2週間後のMRIではさらに進行していた.弟は総頸の2週間後より不随意運動が出現し, 頭部MRIで姉と同様の所見が認められた.両者に高圧酸素療法を開始した後, 症状は徐々に軽快した.遅発性無酸素症後脳症の病態は不明だが, 基底核部を中心とした神経細胞の選択的脆弱性および病変部の解剖学的な構造により, 遅発性に神経細胞の機能障害がおこったものと推測する.高圧酸素療法はこれらの神経細胞機能障害の改善の一助となる可能性があり, 今後さらに検討が必要であると考えられた.

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© 日本小児小児神経学会
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