1999 年 31 巻 4 号 p. 376-378
5歳発症の周期性ACTH-ADH分泌過剰症の男児.発症当初より嘔吐発作間歇期に入眠障害・中途覚醒主体の睡眠障害が認められた.嘔吐発作は多種・多数の制吐剤・抗てんかん薬・向精神薬などによる治療にても難治で数年間におよぶ入院管理を要した.睡眠障害に対しても同様に睡眠導入剤を用いたが適切な効果は得られなかった.8歳時にmelatoninの経口投与 (5mg/回/日) を開始したところ当夜より通常の夜間睡眠が得られた.嘔吐発作の回数および程度は軽減し, 退院して自宅での生活が可能となった.患児・家族にとってquality of life (QOL) の向上が認められ, 原疾患への効果が期待された.