1999 年 31 巻 5 号 p. 445-451
本邦では稀なWalker-Warburg症候群の1例を報告した. 著明な脳室拡大を伴うタイプII滑脳症, 小脳奇形, 網膜異常, 高CK血症および筋CT所見から診断した. 両親は血族結婚であった. 筋緊張低下があり最重度の精神運動発達遅滞を呈していた. 8カ月で点頭てんかんを発症したがビタミンB6が著効した. 遺伝子検索をしたところ, 福山型先天性筋ジストロフィー (FCMD) の創始者のハプロタイプはもっていなかった. 本症例には, 通常のFCMDとは異なる原因があると推察された. 現在4歳であるが精神運動発達はほとんどみられず, 一般的なFCMDより重症な経過をたどっている.