抄録
麻疹第3病日に痙攣重積となり, 広汎な多発脳梗塞を呈したDown症候群に伴うもやもや症候群の2歳男児例を報告した.MRアンギオグラフィー (MRA) 上, 両側内頸動脈終末部と脳底動脈の閉塞を認めた.広汎な多発脳梗塞に進展した機序として, 発熱や脱水に加えて, 感染による凝固能亢進, 痙攣重積による相対的脳血流の低下, 麻疹ウイルスの中枢神経への関与の可能性が推測された.Down症候群では高率にもやもや病様の脳血管病変を伴い, 病期が進行していることも多く, 通常梗塞型で発症する.Down症候群に伴うもやもや症候群の早期診断と梗塞の予防が課題であろう.