2000 年 32 巻 1 号 p. 56-61
症例は13歳男児.精神運動発達は正常であったが, 4歳時に全身痙攣重積状態が出現した.5歳時に反復する感染症のため無ガンマグロブリン血症 (X連鎖無ガンマグロブリン血症を疑う症例) と診断された.8歳時, 胸部不快感にひき続く意識減損発作が出現し, 脳波で右前側頭部に棘波を認めたため, てんかんと診断した.抗てんかん剤投与にもかかわらず, 発作は増悪傾向を示した.また, 感染症も反復するため, 10歳時より定期的な免疫グロブリン置換療法を開始した.以後, てんかんは臨床脳波学的に著明な改善を認め, 感染症も抑制されている.免疫グロブリン療法がてんかん抑制に有効であったと考えた.