脳と発達
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急性脳炎・脳症のてんかん発症について
潜伏期をもたない群の位置づけ
奈良 隆寛浜野 晋一郎野崎 秀次田中 佳子清水 正樹野田 洋子厚川 清美有田 二郎堀田 秀樹前川 喜平
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2000 年 32 巻 3 号 p. 261-267

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抄録

例の急性脳炎 (60例)・脳症 (10例) のてんかんの発症について検討した.23例がてんかんに移行した.23例中18例は脳炎発症から平均7カ月間の期間をおいて (潜伏期あり) てんかんを発症した.また, 23例中5例は急性期からそのままてんかんに移行 (潜伏期なし) した症例がみられた.潜伏期を経ててんかんを発症した症例の中では, 髄液のneuron-specific enolase (NSE) 活性が高い症例はてんかんが難治で, てんかんを惹起する病理に神経組織の崩壊が関与することが示唆された.一方, 潜伏期なしでてんかんに移行した症例は急性期の発作の回数が多く, てんかんは難治性であったが, 髄液のNSE活性は正常であった.この一群は, 潜伏期を経ててんかんを発症する症例とは別の機序で, てんかん原性焦点の活動が増強されたものと考えられた.

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© 日本小児小児神経学会
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