2000 年 32 巻 4 号 p. 346-351
知的発達障害を伴う非福山型先天性筋ジストロフィーとして幼児期より経過観察していた姉・弟例に筋生検を行い, セレン欠乏症と類似の筋所見が認められた. 血中セレンの低値を確認し, セレンの経口投与を開始し, 歩行の改善が得られたので, 歩行分析を加えて報告した. 本症例におけるセレン欠乏と原疾患との関連性は不明であるが, セレン代謝と何らかの関係をもつことが示唆された. セレン投与開始後の症状の改善が薬剤の中枢に対する効果なのか, 筋原性なのかも現在のところ不明である.