2000 年 32 巻 6 号 p. 515-519
偶然に発見された学童を発端者とし, 家族性に大脳基底核の石灰化を有する一家系を経験した.発端者である7歳男児をはじめ, 頭部CT検査を行った7名中6名に被殻・淡蒼球の高吸収領域を認めた.本家系は, 臨床症状を認めず, 副甲状腺機能は正常で, 偽性および偽性偽性副甲状腺機能低下症にみられる特徴的身体的所見もないため, 家族性大脳基底核石灰化症と考えた.患者の性比は男: 女=2: 4で, male-to-male transmissionを認めることから, 遺伝形式は常染色体優性と考えた.
本家系は, 幼児期から基底核病変を認めるにもかかわらず, 高齢の罹患者でも臨床症状を認めない点, 従来報告されている家族性大脳基底核石灰化症の分類に当てはまらず, 新しい型と考えた.