脳と発達
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8歳で発症したナルコレプシーの1例
塚本 東子石川 達也張 尚美水野 久美子
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2001 年 33 巻 6 号 p. 523-527

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抄録

歳で発症したナルコレプシーの1男児例を報告した. 症例は, 昼間の眠気過剰・睡眠発作で発症し, その後, 情動性脱力発作および夜間睡眠分断を呈した.睡眠ポリグラフ検査では, 入眠時REM睡眠期 (sleep-onset REM period, SOREMP) が出現し, ヒト主要組織抗原 (HLA) は, DR2およびDQB1*0602が陽性であった. 治療は, 昼間の眠気に対しmethylphenidate, 情動性脱力発作に対しclomipramineを用い有効であった. 思春期前発症のナルコレプシー患者は行動異常を伴うことが多く, てんかん, 注意欠陥多動性障害と誤診されたり, 周囲から怠け者とみられることもあり, 特に本症例のような就学児の場合は, 早期診断治療と周囲の理解, 援助が必要である.

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© 日本小児小児神経学会
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