脳と発達
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中枢神経系病変を示した血球貪食症候群 (hemophagocytic syndrome) に対するcyclosporin Aおよびmethylprednisoloneパルス療法の効果
山本 克哉大竹 正俊高柳 勝
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2002 年 34 巻 1 号 p. 66-71

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抄録

中枢神経系病変を示した血球貪食症候群 (hemophagocytic syndrome, HPS) の2例を報告した.症例1は2カ月女児で, 高熱と出血傾向に続いて痙攣, 意識障害, 不随意運動を示し, familial hemophagocytic lymphohistiocytosisと考えられた.症例2は8歳男児で, 間質性肺炎を合併した麻疹の経過中に幻視を訴え, 麻疹ウィルス関連HPSと考えられた.2例ともcyclosporin Aとmethylprednisoloneパルス療法が奏効し, 臨床症状と脳MRI所見の著明な改善が得られた.HPSの中枢神経系合併症の治療法は未だ確立されてはいないが, HPSの病態の中核をなす高サイトカイン血症が中枢神経病変の成立にも関与しているものと推定されるため強力なサイトカイン抑制効果を持つこれらの薬剤による治療は合理的であり試みる価値があるものと考えられた.

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© 日本小児小児神経学会
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