脳と発達
Online ISSN : 1884-7668
Print ISSN : 0029-0831
ISSN-L : 0029-0831
神経病理・神経組織化学からみた病態
伊藤 雅之高嶋 幸男
著者情報
ジャーナル フリー

2002 年 34 巻 3 号 p. 211-216

詳細
抄録

Rett症候群 (RTT) の3症例を神経病理学的・免疫組織化学的に検索した.RTTの神経病理は, 小頭と前頭葉を中心とした大脳萎縮, 尾状核, 被殻, 淡蒼球, 視床と視床下部, 黒質の変性が知られている.これら病変に加えて, 青斑核と縫線核を含む脳幹被蓋部の病変が認められた.免疫組織化学的検索の結果, この脳幹の病巣はカテコールアミン作動性神経系や自律神経系の機能低下を示していた.
一方, RTTの原因遺伝子産物であるmethylcytosine binding protein 2 (MeCP 2) の発現は, 正常胎児に広範に発現していたが, 発達に伴い大脳では胎児期後期から低下し, 脳幹部では乳児期から低下していた.これらの結果はRTTの病態と発症を考える上で重要であり, 病態解明への手がかりになるものと思われる.

著者関連情報
© 日本小児小児神経学会
前の記事 次の記事
feedback
Top