脳と発達
Online ISSN : 1884-7668
Print ISSN : 0029-0831
ISSN-L : 0029-0831
Paroxysmal tonic upgaze of childhoodの1例
望月 美佳浜野 晋一郎大島 早希子奈良 隆寛田中 学杉山 延喜衛藤 義勝
著者情報
ジャーナル フリー

2002 年 34 巻 4 号 p. 353-356

詳細
抄録

感染症を機に突発性の上方への異常眼球運動をきたした乳児例を経験した.覚醒後から眼球が1~2秒かけて上転し, その後急速に下転する動きが出現し, 2~3時間反復した.約 10カ月の経過で眼症状は消失した.1歳6カ月で独歩が可能となり, 独歩開始後は体幹失調が明らかとなったが, それも徐々に消失し, 2歳6カ月での発達は正常である.本症例はOuvrierらによって報告されたparoxysmal tonic upgaze of childhoodと考えられた.本邦での報告はまれであり, 疾患概念も十分に認知されているとは言い難い.乳児において垂直方向の異常眼球運動を認めた場合は本疾患も考慮することが必要と考えられた.

著者関連情報
© 日本小児小児神経学会
前の記事 次の記事
feedback
Top