2002 年 34 巻 6 号 p. 511-516
歳前後に発症, 痙性四肢麻痺, 視神経萎縮, 寝たきり状態を呈し, 4歳2カ月で死亡した男児剖検例である.神経病理学的には, 大脳白質に, 左右対称性, 多嚢胞性の破壊性病変が認められ, 視神経, 脳梁, 橋腕, 脳幹部錐体路, 内側毛帯, 頸髄後索などにも同様な病変がみられた.臨床病理学的に, 既知の白質脳症は否定的であった.van der Knaapらのleukoencephalopathywith vanishing white matterと類似する点が多くみられたが, 遺伝性が明らかでなく小脳失調を欠き病変もより高度であった.本例は小児期発症の嚢胞性白質脳症の病態解明に有用な示唆を与えるものと考えられた.