2003 年 35 巻 6 号 p. 515-520
全身皮膚の水庖性発疹の出現に伴い両側線条体壊死を来した症例について報告する.症例は13歳男子.数日間の発熱があり, 抗生物質, 抗炎症薬等を内服したところ, 全身に水庖性発疹が生じ, さらに両下肢の筋強剛と痙性麻痺, 構音障害が出現した.数日内に両上肢の筋強剛, 痙性麻痺と嚥下障害も出現した.頭部MRIでT1, T2強調像ともに高信号を示す両側線条体病変を認めた.副腎皮質ステロイドやL-Dopaは無効であったが, 約1カ月後に自然軽快し, 軽度の筋力低下を残すのみとなった.発疹の病理組織所見から薬疹が疑われたが, 病因は確定されなかった.本症例では発症に薬剤アレルギーが関与し, 線条体病変に点状出血と壊死の生じた可能性が考えられた.