2004 年 36 巻 6 号 p. 455-460
重度痙直型四肢麻痺児の難治性睡眠障害に対して中枢性抗痙縮薬であるtizanidine (TZD) を用い, その有効性について検討した.
睡眠障害を有する痙直型四肢麻痺児21名 (10カ月~21歳) を対象とし, TZD1日体重1kgあたり0.1~0.2mgを分2~分3投与した.この結果, 21名中13名 (61.9%) で少なからず睡眠障害の改善を認め, 一方で顔色不良となる副作用を2名 (9.5%) に認めた.
TZDは抗痙縮薬として広く使用されているが, 副作用として眠気があることも知られている.一方, 筋緊張の亢進は痛みや苦痛を伴い, 強い覚醒刺激となる.今回認めたTZDの睡眠障害に対する効果はTZDそのものの持つ睡眠誘発効果と, 睡眠の阻害要因となる異常筋緊張の緩和の両者によるものと推測され, 痙直型四肢麻痺児の難治性睡眠障害に対してTZDは期待の高い治療法である.