脳と発達
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注意欠陥/多動性障害児における衝動性眼球運動に関する検討
後藤 裕介相原 正男畠山 和男北間 敏弘佐藤 悠中澤 眞平
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2005 年 37 巻 1 号 p. 10-14

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抄録

注意欠陥/多動性障害 (AD/HD) 児の基本的な病態は, 実行機能障害を引き起こす行動抑制障害であると考えられている. 我々は無治療の混合型AD/HD児8名 (6~11歳) と健常児16名 (6~12歳) に衝動性眼球運動 (サッケード) を用いた視覚誘導性および記憶誘導性課題を施行した. AD/HD児では記憶誘導性課題における手がかり刺激への反射的サッケードの抑制ができない頻度が高く, 眼球運動始動までの潜時は有意に延長していた. また, 両課題で潜時や振幅のばらつきは有意に増大していた. これらのサッケード課題は, AD/HDの行動抑制障害や実行機能障害を簡便かつ客観的に評価する方法として有用であると考えられる.

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© 日本小児小児神経学会
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