脳と発達
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メキシコVeracruz州で経験した脳有鉤嚢虫症の非脳炎型大量感染症と思われた1女児例
尾上 幸子
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2005 年 37 巻 4 号 p. 317-321

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抄録

メキシコは有鉤条虫症の流行地のひとつである.Veracruz州の第三次病院小児科で脳有鉤嚢虫症の1例を経験したので報告する.患児は, 8歳の女児で, 1年前から学習困難を, 入院4カ月前から頭痛, 嘔吐, 歩行障害, 幻視, 多幸状態を示した.頭部CTで, 約1,400個の嚢胞, 石灰化病変と, 側脳室周囲の著明な浮腫を認めたが, 嚢胞周囲の浮腫はみられなかった.大量感染にもかかわらず, 初発症状は軽度で慢性の経過を示し, 非脳炎型と考えられた.また, 水頭症への進展により種々の症状が惹起されたと推定された.Albendazole, ステロイド剤を投与したが, 治療2カ月後の頭部CTで脳室拡大が認められ, 効果は不十分であった.

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© 日本小児小児神経学会
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