脳と発達
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Valproate sodium長期服用中に多嚢胞卵巣症候群と肝細胞腺腫を生じた女性例
関 あゆみ井上 岳彦前垣 義弘杉浦 千登勢豊島 光雄赤星 進二郎大野 耕策
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2006 年 38 巻 3 号 p. 205-208

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抄録

Valproate sodium (VPA) 服用者に多嚢胞卵巣症候群 (PCOS) の発生頻度が高いとする報告が多い. 我々は, VPAの副作用と思われるPCOSに肝細胞腺腫を合併した1例を経験した. 症例は28歳女性で, 難治性てんかんのため1歳3カ月よりVPAを内服している. 13歳頃より体重増加, 無月経, 19歳より多毛, 高テストステロン血症を認めた. 22歳時に肝細胞腺腫の腫瘍内出血をきたした. 24歳時に両側卵巣に多発性嚢胞を確認し, PCOSと診断された. VPAは卵巣でのステロイド合成に直接影響して高アンドロゲン血症を起こし, PCOSの発症に関与するとされる. 本例では高アンドロゲン血症が肝細胞腺腫の発症にも関与した可能性がある.

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© 日本小児小児神経学会
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