脳と発達
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睡眠と脳機能
裏出 良博毛利 育子
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2006 年 38 巻 5 号 p. 331-333

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抄録

プロスタグランジン (PG) D2は, 覚醒中の哺乳類の脳内に蓄積する強力なノンレム睡眠誘発作用物質である. 我々はくも膜や脈絡叢, オリゴデンドログリアに発現するリポカリン型PGD合成酵素により産生されるPGD2が, 前脳基底部のくも膜に局在するDP1受容体を介して局所の細胞外アデノシン濃度を上昇させ, アデノシンA, A受容体 (A2AR) 発現神経を刺激することによりノンレム睡眠を起こすことを証明した. さらに, A2AR作動薬の前脳基底部への投与により睡眠中枢とされる腹外側視索前野の活性化とヒスタミン系覚醒中枢である結節乳頭核の抑制が引き起こされ, ノンレム睡眠が増加することを証明した. 本項では, PGD2を介した睡眠/覚醒メカニズムについて最新の知見を紹介する.

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© 日本小児小児神経学会
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