脳と発達
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非進行性片側下腿屈筋萎縮を呈した2男児例
佐々木 征行大見 剛瀬川 昌巳小牧 宏文須貝 研司
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2006 年 38 巻 6 号 p. 458-462

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抄録

片側下腿屈筋萎縮を呈した2男児例を報告した. 発症時期は, 1例は幼児期, 1例は11歳以前で, 5年間以上の観察期間では非進行性であった. 針筋電図と筋生検所見では神経原性変化を示した. 感覚障害や自律神経障害は認めず, 脊髄にも異常はなかった. 本例は, 最近成人で提唱された良性一側下腿筋萎縮症に適合する可能性がある. この疾患は, 下腿筋萎縮が主症状で若年成人に発症しやすい. 脊髄性筋萎縮症のバリアントである可能性は否定的で, 非進行性と考えられる. 片側下腿筋萎縮を示す小児で脊髄あるいは末梢神経の治療可能な疾患が除外されたら, 本例のような非進行性の病態も存在することを念頭において経過観察を行うべきである.

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© 日本小児小児神経学会
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