2007 年 39 巻 3 号 p. 221-225
歳で発症した非ヘルペス性急性辺縁系脳炎 (NHALE) の1男児例を経験した. 症例は4日間の発熱, 消化器症状の後, けいれん重積, 意識障害, 精神症状で発症した. けいれんは薬剤抵抗性の複雑部分発作や全身強直間代発作でpentobarbitalの持続静注を必要としたが, 離脱後は明らかな神経学的後遺症を残さなかった. 経過中, 両側前障にFLAIR画像で一過性の高信号域を認めた. 一方, 本症例は非典型的ではあったが, 粟屋・福山らの「特異な脳炎・脳症後てんかんの一群」, あるいは佐久間らのacute encephalitis with refractory, repetitive partial seizures (AERRPS) とも考えられ, 頻回のけいれんを特徴とする感染後辺縁系脳炎は一部でAERRPSとオーバーラップするものと考えられた.