自閉症は社会的なルールの把握, 獲得が困難であるとされており, さらに, 顔の表情から社会的な状況を読みとることが難しいことがこれまでの研究で報告されている.しかし, 自閉症を対象として, 呈示画像内の状況に対して倫理・道徳的判断を行わせた研究は今までされていない.そこで, 本研究では高機能自閉症児2名を対象として機能的磁気共鳴画像 (fMRI) による画像課題を用いた倫理・道徳的判断時の脳賦活部位を調べた.その結果, 自閉性障害においては前頭葉眼窩野領域 (BA11) の活性が共通してみられなかったことから, この部位がモラル判断に関与し, 自閉症では障害されている可能性が示唆された.