味覚障害を伴った多発性硬化症 (multiple sclerosis, 以下MS) の9歳女児例を報告した.臨床症状, 神経学的所見, MRI画像上認められた病変の時間的, 空間的多発性からMSと確定診断した. 初発時にみられた味覚障害については, 治療前後で濾紙ディスク法により評価し, 右鼓索神経領域の味覚障害と診断した. また, 霊長類の味覚伝導路に基づいて責任病巣を検討し, 右視床病変による同側性味覚障害と結論づけた.
MSの臨床症状として味覚障害は非常に稀とされる.本例は味覚障害を客観的に評価し, 画像上責任病巣を特定しえた貴重な症例であった.
MSの臨床症状として味覚障害は非常に稀とされる.本例は味覚障害を客観的に評価し, 画像上責任病巣を特定しえた貴重な症例であった.