遺伝子研究の進歩により, 診療の現場において確定診断としての遺伝子検査が利用され, 発症前診断, 保因者診断, 出生前診断が可能となった.遺伝子情報は個人と血縁者で共通性があり, 診断結果が血縁者へ影響を及ぼす可能性がある.遺伝子情報漏洩の危険性, 遺伝的差別への危惧など倫理的法的社会的問題が生じる危険性もある.このような背景の下に, 小児神経領域の疾患において, 遺伝カウンセリング実施体制の構築が必要である.本稿では, 遺伝カウンセリング実施体制の解説とともに, Duchenne型筋ジストロフィーと筋強直性ジストロフィーにおける遺伝カウンセリングの例を挙げて考察する.