脳と発達
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滋賀県の痙性両麻痺の追跡調査
18歳時の歩行能力および進路について
鈴木 順子伊藤 正利藤井 達哉宮嶋 智子
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2007 年 39 巻 6 号 p. 427-431

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抄録

1977-1986年度に生れ, 就学時 (6歳時) に滋賀県に在住し, 現在19-28歳の痙性両麻痺62例について, 就学後の歩行能力の変化と18歳時の状態を調査し, 18歳時の状態を6歳時の障害程度と比較検討した. 歩行能力は7-9歳頃まで向上するが, 9-11歳頃が最高の状態を示し, その後低下する傾向にあった.18歳時までの独歩獲得は43例 (69%), 杖歩行を含めた歩行の獲得は48例 (77%) であった. 6歳で独歩していたもの (39例; 63%) は18歳でも全例独歩は可能であったが, 痛みや疲れを訴えるものもあった.
18歳で就職したもの (9例; 15%) は杖歩行以上のものに限られたが, 進学したもの (20例; 32%) には2例の車椅子移動のものがあり, 1例は大学に, 他の1例は専門学校に進んだ. 知的障害の程度と学齢後進路は相関しており, 知的障害がないもの (25例; 40%) は, 留年した1例と職能訓練施設に入った1例以外は進学または就職していた.

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© 日本小児小児神経学会
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