2008 年 40 巻 1 号 p. 10-14
ジストロフィノパチーの欠損蛋白であるジストロフィンの一部は脳内にも存在する.私達は以前よりジストロフィノパチーの中枢神経合併症の頻度とその成因について検討してきた.最近15年間にジストロフィノパチーと診断した167家系200症例のうち, 精神遅滞を54例 (27%), 自閉症を15例 (75%) に認めた.さらに, てんかんを12例 (6%), 熱性けいれんを8例 (4%) に認め, てんかんに関しては一般人口と比較して有意に高率であった.中枢神経症状合併例のうち, 遺伝子異常の判明している症例の欠失, 重複部位からは, 3'側のアイソフォーム遺伝子の関与が示唆された.