脳と発達
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小児期の占拠性病変に伴う側頭葉てんかんの臨床研究
松浦 真里子小国 弘量舟塚 真大澤 真木子山根 文孝堀 智勝清水 弘之
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2008 年 40 巻 3 号 p. 249-254

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抄録

小児期の占拠性病変に伴う側頭葉てんかん (space occupying temporal lobe epilepsy; SOTLE) 11例について, その特徴を明らかにするために同時期に受診した内側TLE (mesial temporal lobe epilepsy; MTLE) 19例と比較検討した.頭部MRI上, 占拠性病変は側頭葉内側面に9例, 外側面に2例存在した.外科手術を施行しえた10例では, 全例, 著明な改善が認められ, 病理所見で7例に腫瘍性病変を3例に皮質形成異常を認めた.両群を比較すると前兆発作症状は上行性胃部不快感, 恐怖感など酷似すること, また, 外科手術の発作予後も同様に良好であった.しかし, SOTLE群では熱性けいれんの既往が乏しい, 発作消失期間のない単相性の臨床経過が多い, 発作は日単位の高頻度な例が多い, 脳波で側頭葉発射が頻回に認められる, また, 頭部MRIで占拠性, 膨張性病変が主体に対し, MTLE群では海馬萎縮が主体である点が異なった.小児でTLEが疑われる場合, SOTLEも念頭に入れCT, MRIを含めた詳細な画像診断が必要である.

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© 日本小児小児神経学会
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