日齢2に右上肢主体のけいれん発作で発見された新生児脳梗塞の1例を経験した. 頭部CTで, 左前頭葉・側頭葉に低吸収域を認め, 動脈灌流域に一致しない病変分布から左中大脳動脈のshowerembolismによる梗塞と推定された. 心房中隔欠損 (ASD) を伴うEbstein奇形が見られ, 奇異性脳塞栓症と類似した右-左シャントが発症に関与したものと考えられた. 新生児脳梗塞は症例数も少なく原因を特定できないことが多い. 一方, 成人領域では原因不明の脳梗塞に卵円孔開存による奇異性脳塞栓症が数多く含まれる. 本例の経過から, 奇異性脳塞栓と同様の機序による脳梗塞が出生直後の新生児でも起こりうる可能性が示された.