脳と発達
Online ISSN : 1884-7668
Print ISSN : 0029-0831
ISSN-L : 0029-0831
先天型筋ジストロフィー症における中枢神経系の障害について
飯沼 一宇大沼 晃田名部 宗之高松 徳光
著者情報
ジャーナル フリー

1974 年 6 巻 5 号 p. 340-348

詳細
抄録

先天型筋ジストロフィー症の4例を報告し, その中枢神経障害について言及した.
知能障害は全例に認められ, 且つ高度であつた.
けいれんは3例に認め, うち1例は無熱性であつた.
気脳写は3例に施行し, 脳室拡大と脳室系以外の部に空気の貯溜を認めた. また第四脳室と大槽が広く交通しており, 小脳虫部の萎縮を疑わせた.
脳血管写は2例に施行し, 中大脳動脈が上方且つ内側よりに走行し, 島部の萎縮が疑われた.
気脳写所見と脳血管写所見により, 従来剖検で認められていたmacroscopicな所見を生前に推測し得た.
脳波は4例とも10-16 c/sの基礎波を有し, 年齢に比して速波傾向があつた. また10 c/s前後のspindle様regular activityが前頭部優位に出現し, これが加齢とともにextreme spindlesに移行していくように思われた.
眼底像は3例にoptic atrophyを認め, 1例は網膜末梢部に色素沈着を認めた.
本疾患では, 中枢神経系の障害は高度であり, 筋における障害に劣らぬ程重要で, 本疾患特有のものと思われた.

著者関連情報
© 日本小児小児神経学会
前の記事 次の記事
feedback
Top