脳と発達
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Tay-Sachs病における脳波の経時的変化について
飯沼 一宇大沼 晃高松 徳光
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1975 年 7 巻 2 号 p. 125-131

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抄録

2例のTay-Sachs病についてその経過中の脳波を検索した.
第1例では8ヵ月で脳波は低電位速波を示し, 発作波は出現しなかつた. 10ヵ月で速波の混入した徐波が出現し, 16ヵ月では高電位徐波が頻発するようになつた.
第2例では17ヵ月で, 高電位徐波に発作波を混じ, 3才では電位は著しくなく, 3才4ヵ月ではほぼ平坦脳波を呈した.
基礎波の周波数分析ではMorrellらによる第II期以後δ-dominancyを呈した.
視覚誘発電位は第1例で15ヵ月, 第2例で17ヵ月で記録し, いずれも全く反応を示さなかつた.
これらのことから, MorrellらによるI-II期では脳波は低電位を呈し, 第II期の終り頃より徐波および発作波が出現し始める. III期では多発性の発作波がみられ, しだいに低電位の傾向をとり, 最終的には平坦脳波になることが明らかになつた.

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© 日本小児小児神経学会
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