1975 年 7 巻 3 号 p. 181-189
中枢神経系の先天異常の臨界期はorganogenesis, histogenesis, functional maturation にわたつている.本研究においては代表的な二, 三の脳の先天異常のmorphological differentiationについて検討を行なつた.
1) organogenesis
a) 無脳症: 無脳症の原因は神経管の再開放すなわち外脳症で起こると主として推測されているが, 著者はholoprosencephaliaのある種のものからも無脳症のいくらかのものができてくることを推察した.ヒトの無脳症の特長の一つは中枢神経系における異常血管の増殖すなわちarea cerebrovasculosaであつて, これは終脳から脊髄に向つて増殖していくが, そのoriginについても推察を行なつた.
b) holoprosencephalia: holoprosencephaliaの各型は矢状方向に大脳半球が侵されていくと, holo-ventriculusに, 前額方向に終脳と間脳が侵されていくと, それらのhypoplasiaないしdysplasiaに, 水平方向に嗅脳とその他のものが分かれると無嗅脳症になるというように, 脳の構築の乱れの方向に従つて分類される.この考えは他の脳の先天異常にも及ぼしうる.
2) histogenesis
a) neuroblastないしspongioblastのヘテロトピー: 終脳と小脳のヘテロトピーについて, これらの細胞の源をmatrixにおけるmaturationの見地から検討した.
b) core形成: ヒトのporencephaliaないしminimalbraindamageとラット胎仔脳における実験的なcoreとを比較検討した.
3) hydroencephalodysplasia: hydroencephalodysplasiaの型についての一つのパターンを髄液と脳構造の異常との間の相関から作り上げた.
更にmajor malformationsのEEGを脳におけるelectric activityのoriginという点で検討した.