脳と発達
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小児の脳シンチグラム
特に水頭症の所見を中心に
門脇 弘孝今永 浩寿喜多村 孝一
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1975 年 7 巻 4 号 p. 256-262

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抄録

脳シンチグラフィーは, 簡便で, 安全かつ有効な検査法である.特に小児に於ては, 脳血管撮影, 気脳撮影等を施行する前に, 患者への負担が殆どかからない本検査法をまず施行すべきである.
1970年1月から1972年12月迄の3年間に15才以下の小児235名にTc-99m pertechne-tateを静注して脳シンチグラフィーを施行した.我々は, そのうち特に水頭症のシンチグラム所見に注目してみた.非腫瘍性水頭症のシンチグラムは, 29例であり, その内訳は, noncom-muicating hydrocephalus ; 9, hydroencephalodysplasia ; 4, Chiari Arnold malformation ; 1, cranium bifidum;2, communicating・hydrocephalus;13である.
noncommunicating hydrocephalusのシンチグラムでは, 一般にmidline structureが正常の場合より太く描出される.それは拡大した脳室に於ては, 相対的にR.I.activityが低くなり, 上矢状静脈洞のR.I.取り込みが相対的に高くなる為である.極端に髄液貯留部が巨大になると, 基底核部が陽性dotとなつてシンチグラム上に浮き彫りされてくる場合がある.これは上記と同じ理由から, 相対的に正常構造物である基底核部のR.I.取り込みが高くなつた為のものである.
hydroencephalodysplasiaの例に於て, シンチグラム上midline structureがdysplasia側から他方へshiftする.これは, dysplasia側で巨大な髄液貯留のcystがある為である.
cranium bifidumの例では, transverse sinus及び, confluenceの位置が高くなつており, 左右のtransverse sinusの作る角度が鋭角に近づいてくる.

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© 日本小児小児神経学会
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