脳と発達
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Luroid Sclerosisと思われる1例
橋本 俊顕河野 登宮尾 益英
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1975 年 7 巻 4 号 p. 285-292

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抄録

1) 患児は7才のとき右下肢の運動障害で始まり, 2年7ヵ月の経過で緩解増悪をくり返し, MSまたはARDEMを思わせるものであつた.SLEを思わせる症状はほとんどみられなかつた.症状はステロイドに反応し改善を示した.
2) 検査所見では赤沈中等度亢進, LEテスト, LE細胞および抗核抗体陽性, 髄液細胞数増加, 血清IgM上昇, 総コレステロール上昇を示した.
3) 以上の様な臨床症状および検査所見より, 本例はFulfordら9) の提唱したlupoid sclerosisに一致すると思われる.
4) 本例はSLEとMSの中間型と考えられ, SLE, lupoid sclerosis, MS, ARDEN, ADEMの間には病因論的に何らかの免疫学的関連がある可能性が考えられ, この点について文献的考察を行なつた.

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© 日本小児小児神経学会
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