1976 年 8 巻 3 号 p. 236-241
13年前Finkelsteinフィンヶルスタインは総内臓転位症と,精薄が高率に合併しやすいと,注意を喚起したが,神経学誌に最近その報告をみることが少ない.今回重心施設に入園中の12才6ヵ月女児で,総内臓転位症と,IQ10以下,鼻ポリープ.上顎洞炎があり,日常行動でoculo-digitalsignをしばしぽみる1症例を報告した.左右肺の選択的気管支造影で,両肺下野の気管支の拡張像を認め,気脳写では中等度の脳室拡大像を認めた.脳波では左中心部の棘徐波結合,および7才頃一過性に6c/s陽性棘波の出現をみた.文献上,本症候群の先天性要因について若干の考察を試みた.