脳と発達
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Globoid cell leucodystrophy (Krabbe病) における神経学的所見ならびに脳波所見の推移について
渡辺 一功原紀 美子岩瀬 勝彦
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キーワード: Krabbe病, 脳波, 大脳誘発反応
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1976 年 8 巻 6 号 p. 432-440

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抄録

Infantile globoid cell leucodystrophyの1例において, 継時的に神経学的検査, 脳波ならびに大脳誘発反応の検査を施行した.診断は脳生検と後には白血球中galactocerebroside β -galactosidaseの測定によった.
腱反射は末期においても亢進していたが, アキレス反射だけは減弱し, 後には消失した.
末梢神経伝導速度の検査結果は高度の知覚運動神経障害を示していた.
末期でも視神経萎縮はみられなかった.
緊張性迷路反射などの緊張性反射はHagbergの第II期に亢進していた.
脳波は10ヵ月では覚醒時基礎波は正常であったが, 睡眠紡錘波は不明瞭で出現数も減少していた.14ヵ月では, 基礎波は不規則化, 徐波化し, 睡眠時左中心部に鋭徐波結合をみとめ, また限局性速波活動がみられた.紡錘波は欠如していた.その後の1年間には基礎波はさらに不規則化, 徐波化し, 2才3ヵ月では高度の徐波性律動異常を示し, 多焦点性非同期性の鋭波や棘波をみとめた.その後の3年間は, 徐彼の振幅は次第に減少し, 発作波も減少したが, 平坦化することはなかった.3才2ヵ月には速波の重畳が著明となり, 5才2ヵ月では明らかな左右差がみられた.
視覚ならびに聴覚誘発反応は6才でもみとめられたが, 潜時は遅延していた.

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© 日本小児小児神経学会
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