脳と発達
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第1編: 臨床発作面よりみた飢餓及びケトン食療法の効果
田島 節子
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1977 年 9 巻 2 号 p. 124-135

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抄録

小児難治性てんかん51例 (男30例, 女21例) につきケトン食療法を行ない, 次の結果を得た。
1) 飢餓期間に臨床的発作の全く認められなくなった者26例 (50%), 著しく減少した者13例 (25%) であった.
2) ケトン食療法による短期間 (1ヵ月間) での効果は, 著効24例, 有効11例, 中止6例であった.
3) 2年間本療法を行ないえた者は51例中13例 (著効8例, 有効3例, やや有効2例) であった.
4) ケトン食療法を継続目標の2年間行ない得なかった例では, 本療法開始3ヵ月までは発作の再発または無効等により中止した例が多かったが, 3ヵ月以後は患児及び家族の都合により中止せざるを得ない例が多かった.また中止した例ではその後発作が本療法開始前と同じにもどってしまった例が多かった.
5) 本療法を継続させるためには患者及び家族と医師の忍耐強い努力と協力が必要である.
6) ケトン食療法は難治性てんかん児に対し施行し, よく効果があると思われる.その実施条件は次の通りである。
a.抗痙攣剤にて完全に発作を抑制できない, いわゆる小児難治性てんかんである.
b.発作の抑制によって知能発達または過動性行動異常改善の見込みのあるもの.
c.発作型としては焦点性発作を除くあらゆるタイプの難治性てんかんに有効である.
d.患者及び両親が確固たる意志をもち, 治療に対し協力的であり, 積極的であること.
e.飢餓期間中にある程度発作の改善のみられること.

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© 日本小児小児神経学会
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