脳と発達
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小児脳波検査のミニマム基準に関する検討
山磨 康子大塚 頌子大田原 俊輔
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1977 年 9 巻 2 号 p. 94-103

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抄録

小児の脳波検査には種々の特殊性と問題点がある.したがって各施設において得られた脳波所見を互いに比較しうるためには, その検査法の標準化が必要と考えられるが, まだこの方面における検討はほとんどなされていない.
そこで, この点に関する基礎的知見を集積する目的で以下の検討を行なった.
1) 本邦の26施設における小児脳波検査の現況を調査した結果につき述べた.
脳波記録のためのモンタージュは各施設で異なり10/20法は11施設で採用されているにすぎなかった.記録時間は一般に20~40分であったが, 覚醒睡眠の全経過を経時的に記録している施設はむしろ少数であった.
賦活法としては睡眠以外に, 開閉眼試験, 過呼吸, 光刺激はほぼ全施設で採用されていた.睡眠は薬剤誘発による所が多かった。
自然睡眠の方が多いのはわれわれの検査室の他は1施設のみであり, 他では圧倒的にmonoso-dium trichlorethyl phosphateによる誘発睡眠が多かった.
2) 小児てんかん1, 016例を対象として初回の脳波検査におけるてんかん波検出率と, 各種賦活法の意義を検討した.ここではてんかん波はspikeを含むものに限定し, また6&14 c/spositive spikes, およびwave-spike phantomは含めていない.
てんかん波検出率は全体として870/1, 016例 (85.6%) であった.発作型別にみると大発作82.2%, 焦点性発作85.8%, 精神運動発作88.4%であったが, 自律神経発作および純粋小発作, WestおよびLennox症候群, ミオクロニー発作等の小型発作では100%であった.
これらのうちてんかん波が“awake crucial”すなわち安静覚醒状態で出現したものは, 全体として397/870例 (45.7%) にすぎなかった.
各種賦活法のてんかん波検出に対する寄与率を検討してみると, 全体として光刺激は1.6%, 過呼吸は2.2%, 睡眠賦活48.0%, benadryl賦活法2.5%で, 睡眠賦活法の意義がきわめて大きかった.
3) 小児てんかん38例について覚醒睡眠の各stageを含む長時間記録を行ない各stage毎にspikeの出現頻度を比較した.focal spikeはstage 1, 2, 3にその出現のpeakを示すものがそれぞれ48.0%, 44.4%, 7.6%であり, stage 1にあるものが最も多かった。 diffuse irregularspike-wave burstはstage 1にその出現のpeakを示すものが88.9%に上り, stage 2にあるものは11.1%にすぎなかった.
したがっててんかん波の賦活に関しては睡眠のstage 1が最も重要である.そのためには傾眠期の短い誘発睡眠よりも自然睡眠が望ましい.
以上より小児脳波検査のミニマム基準として以下の3点を強調した.
(1) ルチソの賦活法としては, 開閉眼試験, 光刺激, 過呼吸, 睡眠を行なとうべきである.
(2) 可能な限り覚醒から自然睡眠の全経過を記録する。覚醒時記録は基礎波の発達の評価に不可欠であり, 痙攣性疾患では睡眠のstage 1が欠かせない.
(3) 実検査時間は30分~1時間必要である.

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© 日本小児小児神経学会
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