脳と発達
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小児の特発性脳内血腫について
岡田 耕坪土田 正山田 潔忠植木 幸明
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キーワード: 小児特発性脳内血腫
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1977 年 9 巻 6 号 p. 450-454

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抄録

小児の脳血管障害のうち, 特発性脳内血腫7例をとりあげて, その臨床的特徴, 予後について報告した.小児入院患者総数1, 912例中, 脳血管障害は29例あり, これは脳腫瘍患者数の約1/10に当る.この内, 血管撮影等の諸検査にても血管腫などの異常を認めないいわゆる特発性脳内血腫は7例であった.年齢は6才から13才までに分布していた.初発症状はいずれも急激で, 頭痛, 悪心, 嘔吐などの脳圧充進が主であった.発症から入院までに平均35日とかなり経過していた.入院時はうっ血乳頭が5例に認められ, その他片麻痺6例, 失語症2例と巣症状を示していたものが多い.血腫部位は皮質下のものが5例, 内包部のものが2例である.原因としては高血圧症が1例に認められたが, 他の6例には何ら認められなかった.最高17年から最短4年の長期観察で, 1例に再出血発作が認められたが, 他には認められなかった.また機能予後も極めて良好で全例ともに十分な社会生活又は学業生活を行なっていた.但し5例に焦点性てんかんの発症をみていたが1例を除き, 完全に発作は抑制されていた.

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© 日本小児小児神経学会
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