脳と発達
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小児の慢性頭痛に関する研究
第1報序論
加藤 昌弘
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1977 年 9 巻 6 号 p. 479-483

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抄録

1) 1975年1月から1977年1月までに, 小児の慢性頭痛150名を経験した.片頭痛型血管性頭痛43名, 筋収縮性頭痛27名, 混合性頭痛18名, 妄想・転換または心気状態の頭痛6名, および分類不能のもの56名であった.
2) 片頭痛の部位は前頭および側頭部が多く, 片側性頭痛を経験したことがあるものは, 38/61と, 少なくなかった.視症状を中心とする前兆は61%にみられ, 視症状のなかではblurredvisionが多かった.悪心・嘔吐は85%と高率にみられた.片頭痛発作は, 頻回で, 持 続が短い傾向にあり, 数分のものもあった.2日以上に亘る長い持続のものは例外であった。
3) 筋収縮性頭痛の部位は, 後頭・前頭部および全体が多く, 殆んどが両側性であった.少数ながら, 悪心・嘔吐を経験したものがあった.持続は成人に比して短く, 数日に亘ることは稀であった.
4) 既往歴にODがあるものが, 各群とも多く, 頭痛の分類としてODを挙げることに問題があることを論じた.
5) 分類不能なものは, 雑多なものの集りであるが, その中心をなすものは, 片頭痛とかなり類似性があり, 現在用いられている片頭痛の診断基準に疑問を投げかけた.

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© 日本小児小児神経学会
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